コラム
行動変容を導くコミュニケーション法
特徴2:行動変容の準備が出来ている人のみを対象とする
センターの健康増進プログラムは、「行動変容の準備が出来ている人」のみを対象としている点が特徴です。換言すれば、行動変容の準備が出来ていない、あるいは行動変容する意思がない人に対しては、センターの提供するプログラムの対象外、ということになります。
対象外のポイントとしては、
①誰か(家族や両親)のプレッシャーからプログラムに参加している人
②簡単な解決法を期待している人
③何をすべきか指示されることを望んでいる人(self-managementの意思のない人)
④健康上の問題や他の人生の問題がプログラムによって全て解決できると考えている人
となります。但し、医師の勧めでプログラムに参加している人は、本人が行動変容を望んでいる限り、プログラム参加の対象とします。
確かに、対象者をこのように絞り込むことで、効率的かつ効果的に対象の支援を行うことが可能になると考えられますが、以下のような意見をお持ちの方もいるかと思います。
「日本で行われている特定健診・特定保健指導の対象者は、必ずしも「行動変容の準備が出来ている人」ばかりではない。むしろ、全く行動変容の準備が出来ていない人に対して、いかにして動機づけをするか、ということも大きな課題の一つである。それに対しては、センターとしてはどのように考えるか?」
この質問に対して、センターのWess所長からは、以下のようにご説明頂きました。
「我々のプログラムは、「行動変容の準備が出来ている人」のみを対象としています。その点で、確かに日本でこれから行われようとしていることとは、事情が異なります。
我々のプログラムで重視していることは、常に参加者の立場に立つことであります。プログラムの参加前に、1対1の面接を行い、
・参加者は行動変容する準備が出来ているか?
・行動変容の過程は、参加者にとってエキサイティングなことか?
・実際に行動変容することは、参加者にとって本当に利益があることと感じているのか?
などの事項に対して改めて確認を行います。
日本の新しい制度では、「行動変容の準備が出来ていない人」も対象にしなければならないとのことでしたが、まずは「行動変容の準備が出来ている人」から始めてみてはどうでしょうか?
そのような集団は、全体の20%かもしれませんし、わずか5%かもしれません。しかし、その人たちがプログラム終了後、健康の伝道師となり、周りの人間、しいては地域全体に影響力を与えていくような仕組みを作る、というのはどうでしょうか?
大事なことは、小さくてもいいから、まずはきちんとした成果を出すこと。そしてその成果を一つずつ積み重ねていくことです。」